本記事は2021年9月10日にvolkswagen.comに掲載された記事の日本語版です。
高価、危険、そして運転が楽しくない。電気自動車に関しては、数多くの思い込みがあります。私たちは、これらの12の疑問に注目し、その事実を確認します。
電気自動車は、ますます魅力的で手頃な価格になりつつあります。例えば、バッテリーのコストは過去10年間で約80%も下がっています。フォルクスワーゲンの電気自動車「ID.3(アイディ.3)」の価格は、Golfのディーゼルモデル「Golf TDI(ゴルフTDI)」とまったく同じです。さらに、電気自動車の購入者は政府からの補助金を申請できるし、ランニングコストも割安です。電気代や税金は、ガソリンや軽油よりも安く、サービスやメンテナンスのコストも内燃車の約3分の1です。つまり、トータルコストで見ると、電気自動車は多くの人々にとって価値のある選択肢となっています。
充電ステーションの数は急速に増えています。現在、ドイツにはすでに1万7,400か所以上の公共充電ステーションが設置され、その数は日々増えています。スーパーや、ホテル駐車場は、顧客のために充電ステーションを設置しています。また、企業も従業員のために同じことをしています。「Volkswagen WeCharge」カードを使用すると、将来的には、ヨーロッパ各地の約10万台の充電ステーションが利用可能になります。ちなみに、電気自動車は、専門の業者が設置した家庭用の電源ソケットでも、少ない電力で時間をかけて充電することができます。特に興味深いのが、電気自動車の充電の約70%は自宅または職場で行われているため、多くの人にとって外出先での充電は必要ありせん。
電気自動車を短時間で充電する必要がある場面はそれほど多くありません。実際に、電気自動車の充電の約70%は、自宅または職場で行われているので、たいていの場合、満充電で出発することができます。また、長距離移動で車両を急速充電する必要がある場合、「ID.3」は、最大100〜125kwの出力で充電することができます。急速充電ステーションで30分間充電することで、少なくとも290km走行可能です。そして、充電は非常に簡単にできます。アプリや車両のディスプレイに最寄りの無料充電ステーションまでの経路案内が表示されるだけでなく、利用可能な充電ステーションの情報も提供されます。充電ステーションの開発が急速に進む中、電気自動車の運転は日々、快適なものになっています。
航続距離の問題は、すでに過去の話になりました。最新の電気自動車の航続距離は、最大550kmです。特に幹線道路や高速道路では、充電インフラも日々改善されています。ドイツにはすでに約2,000の公共急速充電ステーションが設置され、電気自動車を数分で充電することができます。ドイツの自動車メーカー各社の共同事業である「IONITY(アイオニティ)」は、現在、ヨーロッパの幹線道路沿い120kmごとに、急速充電ステーションを設置しています。言うまでもなく、充電ネットワークは今後数年間で、さらに拡充されるでしょう。
電気自動車は、従来のクルマと同様に、最高クラスの安全性が確保されています。また、特別な安全システムにより、火災や感電のリスクを回避しています。例えば、衝突事故が発生した場合、バッテリーからの電流はすぐに遮断されます。さらに、フォルクスワーゲンは、バッテリーをアンダーボディの大型耐衝撃性ブロック内に搭載することにより、保護しています。ドイツ自動車連盟のテストでは、内燃車よりも電気自動車の方が火災のリスクがはるかに低いことが繰り返し示されています。安全な状態で充電を行うことにより、雨の中でも問題なく充電できます。
電気自動車は、気候変動対策に大きく貢献しています。電気自動車は、ディーゼル車やガソリン車よりも、CO2排出量がはるかに少ないです。これは車両の生産を含めて計算した場合にも当てはまります。「Golf TDI」は、そのライフサイクル全体で、1kmあたり平均140gのCO2を生成しますが、「e-Golf」は、EUの電力ミックスで充電した場合、CO2排出量は1kmあたりわずか119gです。電気自動車は、水素や「eFuel(合成燃料)」で走るクルマと比べても、CO2排出量の点で優れており、今後数年間で、この環境上のメリットはさらに重要になります。なぜなら将来的に、さらに多くのグリーン電力が、すべての主要市場の電力網に供給されるからです。その結果、電気自動車は再生可能エネルギーで充電されることになります。フォルクスワーゲンは、「ID.3」を完全にカーボンニュートラルな方法で生産することにより、気候変動対策への取り組みをさらに前進させています。「ID.3」は持続可能なモビリティの先駆者なのです。
ドイツの電力網は電気自動車ブームに対応できるでしょうか?信頼できる研究結果によると、今後、100万台の電気自動車が追加されても、ドイツの電力網に影響を及ぼしません。。ドイツの年間電力消費量は約520TWh(テラワット時)に対し、電気自動車100万台分の年間電力消費量は約2.4TWhです。つまり、総需要のわずか0.5%に過ぎません。しかも、ドイツでは現在、需要を上回る電力が生成されています。電気自動車の国、ノルウェーでも電力供給について心配する必要がまったくないことが、すでに証明されています。
電気自動車の生産にかかる労働力は、内燃車よりも約30%減少しています。長期的には、自動車産業での仕事は少なくなる可能性があるため、電気自動車が普及する初期段階で、確固たるマーケットポジションを確立することが非常に重要になります。最終的に、企業が電気自動車市場で成功すればするほど、雇用は安定します。そのため、フォルクスワーゲンは電動化を積極的に推進し、この取り組みにより何千人もの従業員に新しい長期的な雇用を生み出しています。ドイツのほぼすべてのフォルクスワーゲンの生産拠点が、「ID.(アイディ.)」ファミリーの製造に関わっています。ツヴィッカウ工場だけでも、約8,000人が「ID.」ファミリーの生産に携わっています。自動車産業は構造転換の真っ只中にあり、電気自動車は持続可能な方法で仕事を確保するために不可欠です。
従来のクルマとは異なり、電気自動車には内燃エンジンが搭載されていないため、とても静かです。一般的に、騒音が少ないことはメリットであり、電気自動車が歩行者にとって危険である理由にはなりません。「ID.3」は、約30km/hまでの速度では、独自の未来的な音を出します。高速走行時には、歩行者はタイヤノイズによってクルマの存在に気づくことができます。ちなみに、この音は、2019年夏からすべての電気自動車に義務付けられています。さらに、「ID.3」のような電気自動車は、非常に高い安全基準を満たすために、包括的なアシスト/セーフティシステムを搭載しています。
電気自動車は楽しい乗り物です。電気モーターによる加速は、アクセルを踏んだ瞬間から最大トルクを発揮するため、まるで飛行機に乗っているような加速感を体験することができます。さらに、ダイナミックな走行性能も実現しています。フロア下に搭載されたバッテリーにより、重心が低くなるため、「ID.3」はスポーティな乗り心地です。「ID.R」は、ニュルブルクリンクのノルドシュライフェ(北コース)とパイクスピークで記録を更新し、0~100km/hをわずか2.25秒で加速します。さらに、電気自動車は、ギアボックスやセンタートンネルを必要としないため、内燃車よりも足元のスペースが広くなります。
確かにそうかもしれません。今までの電気自動車は従来のクルマとほとんど同じデザインでした。例えば、「e-Golf」と通常の「Golf」の違いを見分けられるのは、一部のクルマに詳しい人だけでした。しかし、時代は変わりました。「ID.」ファミリーは、軽快なエレメントとシャープなエッジを特徴とする非常に未来的なデザインで、インテリアも刷新されています。電気自動車では、エンジンが占めるスペースが大幅に削減されるため、インテリアデザインとスペースの比率をまったく新しく設計することができます。将来的には、ユーザーのあらゆる好みとリクエストに対応する電気自動車が登場するでしょう。「ID.」ファミリーは、コンパクトカー、SUV、そしてライフスタイルバンまで、そのラインナップは多岐にわたります。
電気自動車の原材料は十分あります。現在、何十億台もの電気自動車用バッテリーを製造するための十分なリチウムが確保できています。また、バッテリーの開発は今後さらに進歩していきます。例えば、コバルトの使用量は、中期的に約12%から6%に削減され、原材料の供給に問題はなく、古いバッテリーもリサイクルされます。長期的には、最大97%のリサイクル率が達成可能であるため、希少な資源の使用量はますます少なくなります。