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革新的なバーチャルリアリティ ツールVRゴーグルを使った車両の開発:フォルクスワーゲンが仮想ワークフローを使用する方法

09/10/21

革新的なバーチャルリアリティ ツールVRゴーグルを使った車両の開発:フォルクスワーゲンが仮想ワークフローを使用する方法

09/10/21

本記事は2022年1月5日にvolkswagen.comに掲載された記事の日本語版です。

時間を節約し、プロセスを簡素化し、コラボレーションを促進し、効率を高める:フォルクスワーゲンでは、VRツールの重要性が増しています。このトピックでは、技術開発、組み立て計画、工場ロジスティクスの3つの分野における、3つの例を紹介します。

例1:
技術開発におけるドライビング シミュレーター

ステアリングホイールを握り、ギアを「D」レンジに入れ、ブレーキから足を離して発進する。ウォルフスブルクの道路、街並み、木々。それは、いつもと変わらない風景です。退屈に聞こえますか?そうではありません。なぜなら、ドライバーはバーチャルリアリティの世界にいるからです。フォルクスワーゲンの技術開発部に設置されたドライビング シミュレーターに座っており、VRゴーグルを通して運転環境を見ています。この仮想ドライブの間、ドライバーはコントロールスイッチ類の操作方法や、総合的な顧客体験にとって重要な数多くのポイントをチェックします。シートベルトを締めたときの装着感は快適なのか?さまざまな機能は簡単に操作できるのか?ディスプレイは直感的に使用できるのか?

フォルクスワーゲンのバーチャルリアリティ センター オブ エクセレンス(VRK)は、このような仮想ドライブの実現を担当しており、新しい車両コンセプトを非常に早い段階で体験できるようにする役割を担っています。これにより、開発が加速され、リソースが節約されます。

ドライバーは、ドライビング シミュレーターを使用して、バーチャルリアリティで移動中です。

ハイテクツール:正確なプロポーション

ダイナミック シミュレーターと呼ばれる装置は、シンプルなコックピットです。ドアも助手席もなく、ダッシュボードは平坦で、ダミーディスプレイ用のマウントが設置されています。電動調整機能により、運転席、ステアリングホイール、ペダルを開発する自動車モデルとまったく同じポジションに配置することができます。それがシティカーでも、小型の商用車でも問題ありません。開発者がVRゴーグルを装着すると、ディスプレイやミラーなどの要素を仮想的に見て、コントロールすることができます。カメラシステムが手の動きを追跡し、VRシーンに転送します。

「私たちは、さまざまな技術開発分野からインテリアの情報を取得しています」と、グループIT開発マネージャーのフローリアン カーゼルは説明します。「これらのデータは、私たちのニーズに合わせて設定され、ゲームエンジンによって視覚化され、VRに転送されます」視覚化ソフトウェアの開発管理を担当しているサンドロ ハーゲマンは、次のように付け加えています。「すべてのパーツが完璧に組み合わさっています。VRでは、現実世界とほぼ同じレベルで作業することが可能です」

「情報はさまざまな技術開発分野から得られます。それをゲームエンジンで可視化し、VRに転送します」
フローリアン カーゼル
グループIT開発マネージャー

電気機械式ヘキサポッドを使用した市街地のバーチャルツアー。

市街地を走行するバーチャルツアーでは、エルゴノミクス シミュレーターにより、リアルな運転体験を得ることができます。「加速や減速G、カーブを曲がるときの横Gなどは、電気機械式ヘキサポッドと呼ばれる装置によって生成されます」と、運転体験シミュレーションの担当者は説明しています。「この装置には、可変コックピットが取り付けられ、全方向のシャシーの動きをシミュレートするプラットフォームが構成されています」

「若い女性がクルマに求めるものと、年配の男性が求めるものは大きく異なります。ドライビング シミュレーターは、最適な妥協点を見つけるのに役立ちます」
バート ハルトフィール
VRシステム開発者

ドライビング シミュレーターで人間工学を評価することは困難であり、定義上、100%完璧で、すべての人に適した設定は存在しません。「私たちのお客様は、多様です。若い女性がシートや操作に求めるものは、年配の男性が求めるものとは大きく異なります」と、ドライビングシミュレーション チームのVRシステム開発者は述べています。「私たちのデザインは、最適な妥協点を見つけることを目指しています。ドライビング シミュレーターは、これを実現する上で非常に役立ちます」

カラーおよび機能の評価:スタティック シートボックス内のVR

VRKの仕事には、デジタル カスタマーチェック(DCC)も含まれます。これは、開発者がお客様の視点で、新しいモデルのインテリアを評価する重要な意思決定会議です。VRKのVRシステム開発者は次のように説明しています。「ここでは、ドライビング シミュレーターと同じように、ニューモデルのすべてのインテリア寸法を正確に再現する、スタティック シートボックスと呼ばれる装置を使用しています。

DCCにおいて、バーチャルリアリティは開発者が主観的に印象を評価するのに役立ちます。そのために、さまざまなカラーコンセプトやすべてのオプション パッケージを、いつでもVRゴーグルに表示することができます。必要に応じて、以前のモデルや別の参考車両のインテリアを表示することもできます。」

「VRにより、新しいコンセプトを非常に早い段階で体験することができます。マウスをクリックするだけで、新しいカラーやオプション パッケージ全体を見ることができます」
チャダス テッカン
VRシステム開発者

フォルクスワーゲン グループ全体で活用されるVRアプリ

ドライビング シミュレーターやVRシートボックスなどのアプリは、フォルクスワーゲンにとって大きなメリットがあります。特に車両開発の初期段階では、多くの物理的なプロトタイプを作成する必要がなくなります。一般には、VRツールによって材料費や出張費を削減することができるため、持続可能性目標の達成に貢献します。また、意見の調整や評価のプロセスも簡素化されます。つまり、バーチャルリアリティは多くの時間とコストを削減します。

フォルクスワーゲンが使用する他の仮想ツールにおいても同様です。「Digital.Realities:Hub」(VR/ARアプリとそのユーザーを接続するクラウドベースのプラットフォーム)は、約150のVRツールで構成されています。このプラットフォームには、ARおよびVRアプリに必要な多数の関連サービスも組み込まれています。これらには、自動化されたデータ フォーマットとデータ パイプライン、アセットおよびユーザー管理、デジタル コラボレーションのためのサービスが含まれます。

「Digital.Realities:Hub」には、フォルクスワーゲン グループのほぼすべてのブランド、企業、および世界中の拠点が組み込まれ、毎年約3,300回のVRセッションが開催されています。これは、デジタル開発ツールの使用に関して、フォルクスワーゲンが先進的な取り組みを実現していることを示しています。

「Digital.Realities:Hub」は、VRおよびARアプリケーションとユーザーを接続。

例2:
合板やボール紙に代わる仮想組み立て計画

車両の生産におけるVRの活用例としては、3Pワークショップ(製作準備プロセス)が挙げられます。3Pワークショップは、数多くあるグループの拠点の1つで組立ラインを設定または変更する必要がある場合に実施されます。このワークショップでは、工場計画、ロジスティクス、組み立て、パイロット生産センター、品質保証の各担当者が、個々のサイクルをどのように設定する必要があるか細部に至るまで特定します。材料を運ぶトロリーは、正確に正しい場所に配置されているか?従業員が移動するルートは可能な限り効率的になっているか?また、すべての作業手順は人間工学的に許容できるものか?

従来、これらのステーションは合板やボール紙、ダミーエレメントを使用して評価されていました。「そして、車両には、要件に合わせて解体されたプロトタイプが使用されていました。しかし、プロトタイプは非常に高価です。そのため、ワークショップをVRの世界、つまりバーチャル ミーティング、バーチャル サイクル、バーチャル カーに移行しました。ここでは、生産施設のデジタル画像がデータベースとして使用されます。個々の組み立てサイクルのデジタル画像がゲーム エンジンに出力され、3Dゴーグルを使用して視覚化されました」

「実際のクルマのプロトタイプは非常に高価です。そのため、組み立てワークショップをVRの世界に移しました」
デニス アブマイヤー
デジタルリアリティ、ビジネスパートナー マネージャー

さまざまなサイズのアバター

「ほとんどの参加者は、工場のトレーニングセンターや、同様の設備を備えた部屋に集まります。彼らはコントローラーとデータグローブを着用し、室内の追跡システムが彼らの動きをシミュレーションシステムに転送し、アバター(画像として表現されるキャラクター)として行動します。各参加者は、アバターのサイズを設定できます。これは、開いたテールゲートの先端に頭が触れる身長180cmの男性であったり、手を伸ばさなければテールゲートに届かない身長160cmの女性であったりします。すべての参加者は、プロセスの手順を示すディスプレイを手首に装着しています。各ステップにかかる時間は記録されます。」

フォルクスワーゲンと同様、アウディもVRテクノロジーにおけるパイオニアです。「“e-tron GT”は、3Pワークショップで開発され、物理的なプロトタイプを作成しなかった最初のアウディモデルでした。VRの世界では、組み立てプロセスを総合的に分析することで、以前よりも早くエラーを検出し、ワークショップにおける不具合の連鎖を減らすことができます。」 「e-tron GT」のパイロットプロジェクトが終了した後、VRテクノロジーは、メキシコのアウディ工場とハノーバーのフォルクスワーゲン商用車部門に導入されました。ソフトウェアと方法論は、使用するたびに進化します。バーチャルワークショップは、組み立て工場だけでなく、世界中のあらゆる場所のプレス工場、車体製造、塗装施設、ロジスティクスにも適用することができます。

フォルクスワーゲンは、新しいロジスティクス プロセスの導入に関して、これまで以上にバーチャルリアリティに依存しています。

例3:
ロジスティクスにおけるVR

フォルクスワーゲンは、新しいロジスティクス プロセスの導入に関しても、これまで以上にVRを活用しています。プロセスを説明するプレゼン資料や理論的なテキスト文書は、VRアプリに置き換えられます。フォルクスワーゲンは、さらなる効率化とデジタル化への変革の早期実現を目指しています。

その一例がVRワークショップです。これは、新しいITシステムとそのソフトウェアを導入するために、ロジスティクスのワークフローを変更することを目的としています。世界中の工場で何千ものプロセスを習得する必要がある従業員にとって、ワークフローの変更には多くの新しい手順が含まれます。スキャンする必要があるラベルはどれか?在庫に問題がある場合はどうすればよいのか?プランナーやITスペシャリストとのVRワークショップでは、ロジスティクスの専門家が早い段階からプロセスについて話し合い、専門知識を共有してプロセスを積極的に形成することができます。

「Lead Group Collaboration:Hub」のある従業員は、VRの強みについて次のように語っています。「以前は、何時間もテーブルに座って会議をしていました。その結果、数多くの文書や図が作成されました。今では、VRツールを使用して、誰もが仮想的にプロセスを実行して、すぐに理解できるようにプロセスを説明することができます」

使用されているシミュレーションは、抽象的な現実をマッピングします。これにより、指導を担当する従業員が、データグラスとグローブを着用してデジタルシステムとツールについて学び、それらをテストすることができます。

「私たちのVRアプリにより、誰もがすぐに理解できるように、ワークフローを視覚的に表示することができます」
マルテ ヒーデマン
Lead Group Collaboration:Hub

「シミュレーションでは、脆弱性の分析と変更管理の両方が非常に迅速かつ集中的に行われます。」と、ヒーデマンは説明しています。「VRアプリのもう1つの強みは、プロジェクトのあらゆる段階で使用できることです: 作業プロセスを計画するとき、作業プロセスを工場の特定の条件に合わせて修正するとき、従業員のトレーニング、およびルーティン作業などをするときです。」

VRアプリはまだ試用段階です。まずはエムデン工場での導入を予定しています。そして、このVRテクノロジーは、いずれはヨーロッパ以外の工場にも展開されるでしょう。


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