電気駆動システムを搭載したフォルクスワーゲン「Bulli」<!-- --> | フォルクスワーゲン公式<!-- -->

独創的なアイデアのルネサンス「T2」電動「Bulli」から「ID. Buzz」へ 01

2022/10/5

独創的なアイデアのルネサンス「T2」電動「Bulli」から「ID. Buzz」へ 01

2022/10/5

本記事は2022年8月26日にvolkswagen.comに掲載された記事の日本語版です。

1972年、ドイツが初めて欧州サッカー チャンピオンに輝き、スウェーデンで伝説的なバンドの「ABBA」が結成され、フォルクスワーゲン初の電動バンがウォルフスブルクの組立ラインから出荷されました。あまり知られていませんが、この年に、日常で使用できるゼロエミッションの「Bulli(ブリー)」という夢が誕生しました。50年の歳月を経て、その夢が「ID. Buzz(アイディ. バズ) 」で現実のものとなります。この電動バンの歴史を振り返ってみましょう。

フォルクスワーゲンは、世代を超えて愛されてきたフォルクスワーゲン バンの遺伝子を継承した電気自動車、「ID. Buzz 」の基礎を50年以上も前に築きました。1970年、アドルフ カルバーラーは、電気駆動システムを備えた最初のフォルクスワーゲンを設計する「フューチャー リサーチ」開発部門を設立し、その2年後、フォルクスワーゲンは「T2」をベースにした電動バンを発表しました。最初はテスト車両として、その後は、さまざまなオプション設定を備えた少量生産車として世に送り出されました。

このプロジェクトで、電動「Bulli」のビジョンは生まれましたが、まだ実用的なクルマではありませんでした。「T2」の最初の試作品は、荷台を備えたピックアップ

当時のパイオニア的存在:「ID. Buzz」1(2022年)と「T2」電動バン(1972年)

50年後、「ID. Buzz」の第1世代のバッテリー容量は77kWh(ネット)、重量は500kgになりました。これは、長年の研究開発の成果によるものです。さらに重要なことは、テクノロジーの進歩は、俊敏性と航続距離も大幅に改善し、「ID. Buzz」は、大量生産車として市場でその役割を果たせるようになりました。

「ID. Buzz」のベースとなった省スペースMEBコンセプト

俊敏性に関して言えば、1972年の電動「T2」は、従来型の「T2」のプラットフォームをベースにしていました。そのため、バッテリーをアンダーボディに搭載することが難しく、取り外し可能な荷台に搭載していました。対照的に、「ID. Buzz 」は、モジュラー エレクトリック ドライブキット(MEB)をベースにしており、まったく新しい基本アーキテクチャーを備えています。これにより、バッテリーパッケージを「サンドイッチ構造のフロア」の奥深くに、そしてフラットに搭載することが可能になりました。その結果、より低く、よりダイナミックな重心となり、優れた俊敏性、安全性、運転の楽しさを実現しています。また、インテリアには、新しい可能性、より多くの空間、新しいスペース感覚が生み出されました。

モビリティハブの形成

新型「ID. Buzz」

「ID. Buzz 」は、フロントにエンジンが搭載されていないため、非常に大きなステアリング操舵角が可能になりました。回転直径は、コンパクトな「Golf」に近い、わずか11メートルです。これにより、非常に狭いスペースでも運転しやすく、市街地走行や狭い駐車場も得意としています。

バッテリー交換 vs. バッテリー充電

「T2」電動バンの航続距離は約85kmに過ぎなかったため、1978年にベルリンで7台の「T2」を使用したテスト中に、当時では非常に革新的なバッテリー交換システムが採用されました。ティーアガルテン地区に設置された交換ステーションでは、空のバッテリーを完全に充電されたバッテリーに交換するのにわずか5分しかかかりませんでした。これにより、充電に必要な数時間の待ち時間が大幅に短縮されました。

近年では充電性能が大幅に向上したため、バッテリー交換のコンセプトは使用されなくなりました。「ID. Buzz」の例で見てみましょう。ドイツでの急速充電ステーションでの最大出力は170kWのため、「ID. Buzz 」のバッテリーは5%から約30分で80%まで充電することができます。

「T2」電動バンの充電ポート(左)は、ほとんど使われることはありませんでした。880kgのバッテリー(右)は取り外して荷台に搭載。

エネルギー回生システムをすでに搭載していた「T2」

フォルクスワーゲンは、1970年代には早くも非常に先進的なエネルギー管理システムを採用しました。「T2」電動バンには、ブレーキ時に運動エネルギーを回収し、このエネルギーを使用してバッテリーを充電するエネルギー回生システムをすでに搭載していました。当時としては画期的なテクノロジーでしたが、今では当たり前の技術になっています。このテクノロジーは、「ID. Buzz 」用に改良および最適化されていますが、クローズド システムにおいて慣性を使用したエネルギー生成の基本原理は変わっていません。これにより、航続距離が20~30%増加します。

e-モビリティの50年:「T2」電動「Bulli」とその後継モデルの「ID. Buzz」1

50年にわたる劇的な変化

この50年間で技術開発が進歩したことにより、いくつかの根本的な変化がありました。1972年当時は、現代の「ID. Buzz 」のように、自分たちの「Bulli」が自動で駐車できるようになる日が来るとは誰も想像していませんでした。ましてや、ボイスコントロールを使用してウィンドウの曇りを除去したり、充電のための停車を含めて走行ルートを計算したりさせることなど、誰が想像したでしょうか?

1972年に「T2」電気バンで先駆的なプロジェクトとして始まったことが、50年後の今、現実のものとなっています。「ID. Buzz」は、e-モビリティ、アシスタントシステムと情報システムのインテリジェントなネットワーク、自動運転の技術的前提条件、OTA(over-the-air)ソフトウェア アップデート機能など、現代のもっとも重要な自動車トレンドを組み合わせています。3月9日、「ID. Buzz」と「ID. Buzz Cargo」が世界初公開され、モビリティの未来の扉が開かれました。


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