本記事は2022年4月22日にvolkswagen.comに掲載された記事の日本語版です。
フォルクスワーゲンは、「Way to ZERO」を歩んでいます。簡単に言えば、これはフォルクスワーゲンが、パリ協定およびEUの欧州グリーンディールの目標を遵守することを意味しています。長期的な目標は、2050年までに完全にカーボンニュートラルな企業になることです。フォルクスワーゲンの2030年の目標は、2018年と比較してヨーロッパで生産される車両1台あたりのCO2排出量を40%削減することです。これは、フォルクスワーゲンの各車両がそのライフサイクルを通じて排出するCO2を平均で17トン削減することを意味します。フォルクスワーゲンは、気候変動の緩和に大きく貢献すると同時に、持続可能なモビリティを提供するもっとも望ましいブランドになりたいと考えています。
フォルクスワーゲンは、脱炭素化に向けた総合的なアプローチを採用しています。そのため、「Way to ZERO」は、車両の電動化だけでなく、車両のライフサイクル全体の脱炭素化を見据えています。そのため、4つの中心的な対策を策定しました。
フォルクスワーゲンは、「Way to ZERO」をコスト面での対策として捉えているのではなく、真の競争上の優位性をもたらすものと見なしています。将来的に、従業員、お客様、投資家は、あらゆる事業活動において、社会的責任を果たす企業を選択することになるでしょう。そのため、持続可能性は、長期的なビジネスの成功の決定的な要因になります。しかし、フォルクスワーゲンが単独でモビリティの脱炭素化を実現できないことが明確です。その実現には、政治、産業界、社会の協力、優れたアイデア、そして大胆な投資を欠かせません。
フォルクスワーゲンの製品ポートフォリオは、e-モビリティに重点を置いています。その環境へのメリットは明らかです。すべての駆動コンセプトを比較場合、電気自動車はEUの現在の電力構成でも、最もよいカーボンバランスを実現し、今後数年間さらに改善していくでしょう。フォルクスワーゲンは、2030年までに電気自動車の販売台数の割合を、ヨーロッパで少なくとも70%に、北米と中国で50%以上に増加させることを目指しています。2033年から2035年の間に、フォルクスワーゲンはヨーロッパ市場向けに最後の内燃車を生産します。
フォルクスワーゲンは、2021年に世界中のお客様に約26万3,000台の電気自動車をお届けしました。これは、前年と比較して97%の成長です。ドイツでは、新しい電気自動車の5台に1台がフォルクスワーゲンです。「ACCELERATE」戦略により、フォルクスワーゲンは、e-モビリティの時代に完璧に備え、同戦略は「Way to ZERO」の中心ともなっています。
今後数年間、フォルクスワーゲンは毎年少なくとも1つの新しい電気自動車を発売する予定です。「ID.3(アイディ.3)」と「ID.4(アイディ.4)」はパイオニアとしての役割を果たし、その後「ID.4 GTX(アイディ.4 GTX)」と「ID.5(アイディ.5)」が続きました。「ID.6 X(アイディ.6 X)」/「ID.6 CROZZ(アイディ.6 クロス)」は、中国市場向けに特別に開発された最初のMEBモデルです。2022年3月、「ID. Buzz(アイディ. バズ)」の発表により、アイコンモデル「Bulli(ブリー)」の電動バージョンがワールドプレミアを果たしました。
フォルクスワーゲンは、今後数年間でe-モビリティを拡大し続けます。エムデン工場では、2023年から「Passat(パサート)」クラスの電気自動車「Aero B(エアロ B)」も生産します。その後、2025年には約2万ユーロの小型電気自動車が登場します。 ミュンヘンで開催された「IAA Mobility 2021」のコンセプトカー「ID. LIFE(アイディ. ライフ)」」はそのクルマを先取りしていました。フォルクスワーゲンはさらに2026年、「Trinity(トリニティ)」プロジェクトで次世代の電気自動車を導入する予定です。
製品ラインナップの電動化において、モジュラー エレクトリック ドライブ マトリックス(MEB)により、重要な競争上のアドバンテージを得ることが可能になります。電気自動車専用に設計されたこの車両アーキテクチャーは、長い航続距離、広々とした室内空間の実現に加え、OTA(over-the-air)アップデートによりソフトウェアを定期的に更新することができます。MEBは、完全にネットワーク化された電気自動車、「ID.」ファミリーの技術的な基盤です。
「Way to Zero」の第2の対策は、サプライチェーンと生産におけるCO2の削減です。「Zero Impact Factory(ゼロインパクト ファクトリー)」プログラムにより、フォルクスワーゲン ブランドは、2015年と比較して、2025年までに車両1台あたりの生産におけるCO2排出量を50%削減するという目標を設定しています。自動車を製造するフォルクスワーゲン工場の大半は、すでに再生可能エネルギー源からの電力を使用しています。長期的な目標は、車両の生産をカーボンニュートラルにすることです。
生産の脱炭素化には、サプライヤーも含まれます。将来的には、CO2排出量の少ないコンポーネントが「ID.(アイディ.)」モデルに採用される予定です。これにより、2025年までにCO2排出量が車両1台あたり約2トン削減されます。フォルクスワーゲン グループは、2025年末までに「ザルツギッターAG」が生産する低炭素鋼を使用することも計画しています。
現時点、サプライチェーンや生産において回避も削減もできないCO2排出は、環境保護プロジェクトへの投資によって、相殺しているため、フォルクスワーゲンは現在、「ID.3」「ID.4」「ID.5」を既に、ヨーロッパのお客様にカーボンニュートラルでお届けしています。
風力発電は、カーボンニュートラルなエネルギー供給の鍵です
サプライチェーンと生産は、電気自動車のCO2排出量の約 48%を占めています。CO2排出量の46%は、その使用段階において発生します。そのため、フォルクスワーゲンは、一貫したグリーンエネルギーの使用を、脱炭素化の第3の対策に掲げています。お客様がグリーンエネルギーを使用して車両を充電する場合にのみ、新しい持続可能なモビリティの環境的可能性を最大限に引き出すことができます。フォルクスワーゲンのドライバーは、フォルクスワーゲンの子会社「Elli」とヨーロッパの急速充電ネットワーク「IONITY(アイオニティ)」により、すでに「ID.」モデルを完全に再生可能なエネルギーで充電することができます。
将来的には、多くの「ID.」モデルが、充電した電気自動車の余分な電力を自宅に供給することができるようになり、公共電力網の安定に貢献することができます。
また、フォルクスワーゲンは、産業規模で、再生可能エネルギーの拡大に直接投資した最初の自動車メーカーでもあります。関連するプロジェクトでは、追加のグリーンエネルギーを生成して電力網に供給します。これらのプロジェクトにより、全体として2025年までに年間約7テラワット時のグリーン電力が生成されることになります。これは、毎年60万世帯が使用する電力に相当します。ドイツの巨大な太陽光発電所に加えて、2021年にはスウェーデンの風力発電所にも資金が提供されました。今後数年間で、ヨーロッパ全体で様々なプロジェクトが新たに開始される予定です。
フォルクスワーゲンの脱炭素化戦略は、車両の耐用年数が終了してもまだ続きます。寿命に達した電気自動車のバッテリーは、セカンドライフとして、充電ステーションなどでエネルギー貯蔵ユニットとして再利用できます。
ザルツギッターの試験的施設では、他の用途に使用できなくなった高電圧バッテリーをリサイクルしています。早ければ2020年代の終わりには、大量のバッテリーが返品されることが予想されます。そのため、この施設は当初、試験運用段階として、年間最大3,600のバッテリーシステム(約1,500トン)をリサイクルする予定です。将来的にこの施設では、プロセスを継続的に最適化することにより、より多くのバッテリーをリサイクルできるようになります。
その目的は、リチウム、ニッケル、マンガン、コバルトなどの貴重な原材料を、クローズドループで産業型の回収を行うとともに、アルミニウム、銅、プラスチックを90%以上のリサイクル率で回収することです。
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