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ヨーロッパのフォルクスワーゲン ギガファクトリー「私たちは、電気自動車の需要増加に対応するために準備を整えています」

2022/10/5

ヨーロッパのフォルクスワーゲン ギガファクトリー「私たちは、電気自動車の需要増加に対応するために準備を整えています」

2022/10/5

本記事は2022年2月17日にvolkswagen.comに掲載された記事の日本語版です。

将来、フォルクスワーゲンは多くの電気自動車モデルに自社生産のバッテリーセルを搭載する予定です。「電気自動車において、バッテリーセルは中心的な役割を果たしています。バッテリーセルは、充電速度と航続距離の鍵となります。そのため、ヨーロッパでノウハウを蓄積し、グループ内にバリューチェーンを構築することが非常に重要であると考えています」と、セバスティアン ウォルフは述べています。

フォルクスワーゲンは、2030年までにヨーロッパに5つのバッテリーセル工場を建設することを予定しています。このプロジェクトに、どのように取り組んでいますか?

当然のことながら、ギガファクトリーの建設は非常に重要なプロジェクトであり、数多くの要件に対応する必要があります。現在、私たちは複数のバッテリーセル工場を建設中です。そのために重要なことは、3つのポイントに要約することができます。まず、強力なチームです。そのため、バッテリー業界から最高レベルの専門家をさらに増員して、チームを拡大し続けています。第2に、建物と生産工場建設のための適切なパートナーです。そして第3に、標準化です。各プラントを個別に計画すると、時間がかかりすぎます。そのため、適応性と柔軟性を維持しながら、スタンダード ファクトリー(標準化された工場)のコンセプトを採用しました。このようにして、すべての工場の建設が計画通りに進行できるようになります。

スタンダード ファクトリーの利点とは?

標準化された設計により、すべての工場の建物と設備に同じコンポーネントを使用できるため、計画および調達作業が簡素化され、建設期間を短縮できます。異なるのは、各国の承認手続きのみです。そしてスタンダード ファクトリーの根底にあるのは、すべての拠点で製造するフォルクスワーゲン ユニファイドセル(統一規格のセル)です。この2つを組み合わせることにより、スケールメリットが大きくなります。お客様はこの恩恵をより手頃な車両の価格という形で受けられます

フォルクスワーゲンは、ボッシュとともに、欧州でバッテリーセル工場の設備を供給するサプライヤーの設立を検討しています。これは、進行中の計画に関してどれほど重要な話ですか?

決して重要じゃない訳ありません。今後数年間で、かなりの数の大規模なバッテリー生産プロジェクトがヨーロッパで開始されます。バリューチェーンにおける工場設備段階から一緒に仕事を進めることには、大きな可能性があると考えています。フォルクスワーゲンとボッシュは、イノベーションを創出する能力を備え、グローバルにネットワーク化された量産型の工業生産が可能です。また、ボッシュはオーダーメイドの機械と設備を開発して、デジタル制御の組立ラインも提供しています。

また、ベルギーのバッテリー素材専門会社「Umicore」との協力も予定されています。それは、どのような内容のプロジェクトですか?

バッテリーセル生産における潜在的な問題を解消するため、このプロジェクトでは、素材を安定して調達するための基盤を構築したいと考えています。現在、カソード素材の大規模生産の可能性について、「Umicore」と話し合っています。また、原材料の調達やリサイクルについても検討しています。

「各世代のスタンダード ファクトリーは、投資が無駄になることはなく、長期的に使用できるように設計されています」
セバスティアン ウォルフ

バッテリーセル工場への合計投資額は?

フォルクスワーゲングループは、ザルツギッターのバッテリーセル工場の建設と運営に約20億ユーロを投資します。ヨーロッパでのバリューチェーン全体の構築に投資しているのは私たちだけではなく、力強いパートナーも関与しています。そのため、フォルクスワーゲンは、原材料の処理からユニファイドセルの開発、ギガファクトリーの管理まで、すべての活動を1つの組織下に置くための欧州法人を設立しました。

ザルツギッターのバッテリーセル工場は現在建設中で、スペインと東ヨーロッパの工場建設地は協議中であり、さらに追加の建設場所が調査されています。どのような基準で場所を選択していますか?

メクレンブルクの巨大なソーラーパーク
まもなく、この太陽光発電所が電気自動車にクリーンなエネルギーを供給

土地の特性や立地の様々な条件に加えて、人員とエネルギーという2つの要件が決定的に重要です。バッテリーセル工場を立ち上げて稼働させるためには、周辺地域で必要な資格を持っている人材の確保が必要があります。一定数の化学者も必要ですが、何よりも豊富な製造経験を持った人々が求められます。また、太陽光発電や風力発電など、十分なグリーン電力も必要です。

バッテリー技術は進化を続けていますが、これらの工場は、どの程度の順応性がありますか?

スタンダード ファクトリーの計画は、フォルクスワーゲンの技術マトリクスに基づいており、今後10年間で予測可能な30以上の革新的プロセスに対応することができます。それらには、電極の乾式コーティング、新しいセル化学、全固体電池が含まれます。それにより、いったん立ち上げた工場を、工場の第3世代に相当するレベルまで発展させることができると想定しています。一部のプロセスが変更され、一部の設備が置き換えられるでしょう。スタンダード ファクトリーの各世代は、常に上位互換性があるように設計されているため、投資が無駄になることはなく、長期的に使用できるようになっています。

フォルクスワーゲンのパートナーである「Northvolt」は、スウェーデン北部のシェルレフテオーに別の工場を建設しています。この工場は、他の工場とどのように違うのですか?

「Northvolt」は、フォルクスワーゲン グループ内のブランドだけでなく、他のお客様にも製品を供給します。したがって、将来的にはスウェーデンでユニファイドセルを生産するだけでなく、他の形式のバッテリーセルも生産する予定です。シェルレフテオーにおけるバッテリーセルの生産では、水力発電による再生エネルギーを使用します。

6つの工場によって新たに生み出される雇用は?

私たちは、合計で万単位の雇用が創出されると考えています。ザルツギッターだけでも、2,500を超える職場が生まれます。

それらの人材はどこから来ると想定されていますか?

ザルツギッターは、具体的な計画を開始した最初の拠点です。私は、大多数の従業員は社内から確保できると考えています。これは、フォルクスワーゲンでの変革の一部です。たとえば、ザルツギッターのエンジン工場には、必要な資格を取得した後、新しいバッテリーセル工場で働くことができる多くの生産の専門家がいます。製品は異なりますが、製造プロセスの多くはそれほど大きく異なりません。

バッテリーリサイクルのパイロット設備
ザルツギッターにおけるバッテリーリサイクル原材料の二次利用

今後のスケジュールは?

ザルツギッターでは、整地(区画の準備)はほぼ完了しています。3月に計画申請書を提出し、今年の下半期には建設を開始できる見込みとなっています。最初の工場ブロックでは、2025年春に量産を開始する予定です。さらに、約半年後には第2ブロックの量産がスタートします。その後、数か月間隔で、南ヨーロッパから始まる他の拠点での生産立ち上げが続きます。遅くとも2030年までに、240GWhの総容量を達成する予定です。

ザルツギッター:バッテリーセル工場の計画は準備ができており、建設は2022年下半期に開始される予定です。

これにより、フォルクスワーゲンはバッテリーセルをすべて自社から調達できるようになりますか?それとも、まだセルを購入する必要がありますか?

社内での製造を通じて、私たちは電気自動車の需要増加に対応するために計画を進め、他に依存しない体制を整えています。しかし、他社から購入したバッテリーセルも引き続き使用します。もちろんお客様次第でもありますが、e-モビリティが急速に普及すればするほど、バッテリーセルの需要は急速に拡大します。

これまでのところ、バッテリーセルに関しては、アジアのメーカーがリーダーと見なされてきました。バッテリーセル工場は産業政策としても、意味があるのですか?

電気自動車の場合、バッテリーセルは中心的なコンポーネントです。バッテリーセルは、充電速度と航続距離の鍵となります。そのため、ヨーロッパでノウハウを蓄積し、フォルクスワーゲン グループ内にバリューチェーンを構築することが非常に重要であると考えています。それは、今日の内燃エンジンと似ています。バッテリーセルの場合、現時点では私たちはただの追随者にすぎませんが、うまく行けば、数年後にはリーダーの一員になることができます。


人物について:

セバスティアン ウォルフは、2021年8月からバッテリー セル オペレーションズの責任者を務めています。この要職を受け、生産エンジニアのウォルフは、フォルクスワーゲン「ID.」モデルにバッテリーを供給するために、ヨーロッパのバッテリーセル工場の建設を担当しています。フォルクスワーゲン グループに入社する前は、中国のバッテリー メーカーである「Farasis Energy」に勤務し、最近ではヨーロッパのマネージング ディレクターを務めていました。ウォルフはイスタンブールで高校を卒業した後、ドイツのアーヘン工科大学、英国のバース大学、中国(北京)の清華大学で学びました。ドイツ語と英語だけでなく、中国語、フランス語、トルコ語も堪能です。

キーワード:
欧州会社

「Societas Europaea(SE)」または「欧州株式会社」とは、一連の標準的な規制に従って、ヨーロッパのさまざまな国での事業運営を許可されています。ドイツでは、2004年にこの事業形態が導入されました。フォルクスワーゲンがバッテリー事業のために設立したSEは、原材料の加工やフォルクスワーゲンのユニファイドセルの開発からヨーロッパのギガファクトリーの管理まで、バリューチェーンに沿った活動を統括しています。SEは、原材料のリサイクルなど、新しいビジネスモデルも担当します。

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